こんにちは相続遺言ナビです。今回は自分で出来る遺産分割協議書の作成について記載して行きたいと思います。遺産分割協議書は相続登記や銀行の払戻手続きで必要となります。

遺産分割協議書の成立要件

遺産分割協議

遺産分割協議書の成立要件は共同相続人全員の参加共同相続人全員の合意です(民法906条)。そのため遺産分割協議書を作成したとしても相続人を一人でも見落としていた場合、その遺産分割協議書は無効となります。

運営者

私が以前、携わった兄弟姉妹の相続では代表相続人の知らない相続人が何人もいたケースがありました。江戸後期や明治、大正時代は養子縁組が多いですし、兄弟姉妹の相続では相続関係が複雑になります。そのような事案では戸籍謄本の読解に慣れていないと相続人を見落としてしまうケースがあります。

遺産分割の対象となる遺産

民法896条は「相続人は相続開始の時から被相続人(亡くなった方)の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない」としています。したがって一身専属性を有する権利義務を除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続の対象として遺産の範囲に含まれます。ただし、遺産の範囲に含まるとしても相続人間での遺産分割の対象とならないケースもありますので注意が必要です。

預貯金

預貯金は相続の対象となりますが、可分な金銭債権のため遺産分割の対象とならないとされていました。しかし、2016年12月19日の判例変更によって預貯金は遺産分割の対象とされています。これはどのような意味があるかというと当然に遺産分割の対象のため例えば遺産分割協議書で「本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は、相続人●●太郎がこれを取得する」と加えておけば遺産分割の対象となる預貯金は相続人●●太郎が取得する事になります。

今までは具体的に口座番号などを遺産分割協議書に明記し、共同相続人全員の合意という形で可分債権を遺産分割の対象財産としていましたが今後はそのような対応は必要ない可能性があります。ただ、実務の面でも争いに発展する可能性がありますし、銀行の内部手続きとして遺産分割協議書に口座番号を記載しないと対応できない可能性がありますので明記した方がいいでしょう!

運営者

預貯金と遺産分割については、2004年(平成16年)の最高裁判例等で、原則として、預貯金は、被相続人の死亡により、相続人らに、当然に分割されて、遺産分割の対象とはならないとされていました。

不動産

不動産

土地や建物その他の定着物である不動産は相続の対象となり、かつ、遺産分割の対象となります。なお、不動産の内、農地については農業委員会の許可は不要ですが遺産分割協議後、10ヶ月以内に農業委員会へ権利取得の届け出(農地法3条)をする必要があります。

その他

その他として現金や不動産利用権(賃借権など)、ゴルフ会員権などがあります。現金につきましては遺産分割の対象となるか否かについては議論の余地がありますが、平成4年の判決では「相続人は遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として管理している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできないと解するのが相当である」と判示して、遺産分割の対象であるとしています。

個人的には遺産分割の対象となる争いがある遺産についても遺産分割協議書に具体的に明記した方がいいと考えています。下記に遺産分割協議書の雛形・見本を掲載しておきます。

遺産分割協議書の雛形・見本

遺産分割協議書

被相続人 ●●太郎
生年月日  大正11年11月1日
死亡年月日 平成29年1月30日
本籍   東京都東京区一丁目

平成29年3月31日上記被相続人●●太郎の死亡により開始した相続における共同相続人花子、一郎、二郎、三郎は民法908条に基づく遺言による分割の指定及び禁止のないことを確認したうえで、被相続人の遺産を次のとおり分割することに合意する。

1.相続人花子は次の各号の不動産をすべて単独で取得する。
(1)
所在 ●●三丁目
地番 111番1
地目 宅  地
地積 111.59㎡
(2)
所在 ●●二丁目
地番 111番
地目 畑
地積 111㎡
(3)
所  在 東京三丁目 111番地
家屋番号 111番
種  類 居  宅
構  造 木造瓦・亜鉛メッキ鋼板葺2階建
床 面 積 1階 111.69㎡ 2階 33.33㎡

2.相続人一郎は次の各号の不動産の持分をすべて単独で取得する。
(1)
所在 大阪府一丁目
地番 100番36
地目 宅  地
地積 111.78㎡

(2)
所  在 大阪府一丁目 111番地11、100番地11
家屋番号 111番11
種  類 居  宅
構  造 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
床 面 積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡
持分●●太郎 2分の1

3.次の各号の預貯金は相続人二郎がすべて単独で取得する。
(1) 東京銀行 名古屋支店 普通預金 口座番号111111
(2) 大阪銀行 通常貯金 記号2222  番号 1111111

4.被相続人の遺産である現金は次の各号のとおり取得する。
(1)相続人 花子 100円
(2)相続人 一郎 200円
(3)相続人 二郎 500円
(4)相続人 三郎 500円

5.本協議に記載なき遺産および後日判明した遺産は、相続人花子がこれを取得する。

上記のとおりの協議が真正に成立したことを証するため、この協議書4通を作成して各自署名押印し、各1通を所持するものとする。

平成29年3月31日

住所
氏名

住所
氏名

住所
氏名

住所
氏名


5条の「本協議に記載なき遺産および後日判明した遺産は、相続人花子がこれを取得する。」を加えておくことで今後新たな遺産が見つかった時に自動的に相続人花子が遺産を取得します。

氏名は自署で署名してください。また、印鑑は実印を捺印(押印)します。住所については記名でも構いませんが銀行によっては署名を求められます(登記は記名でOK)。

遺産分割協議書まとめ

遺産分割協議書の作成はご自身で行っても良いですし、弁護士、行政書士、司法書士(不動産登記を行う場合)などの専門家に依頼することもできます。なお、遺産分割協議後の相続登記につきましては「自分で出来る遺産分割協議書による相続登記」で記載しています。また、遺産分割協議による登記の後、相続した不動産を売る手続きについては家ナビの「相続する空き家を売る流れと手続き」や「家や自宅を売る時の登記で必要になる書類」をご覧ください。